ネットワークエンジニアとは?現役エンジニアが仕事内容と働き方を解説
ネットワークエンジニアとは
スマホ、パソコン、ゲーム機、会社のシステム……
私たちがインターネットを使えるのは、「ネットワーク(通信の仕組み)」があるおかげです。
ネットワークエンジニアとは、このネットワークが
✅ 正常に動くように設計し、
✅ 安全に動くように管理し、
✅ トラブルが起きた時に復旧する
仕事をする技術者のことです。
現代のIT社会では欠かせない存在で、企業のインフラを支える“縁の下の力持ち”とも言えます。
今回は、SIerに勤める現役ネットワークエンジニアである私が、仕事内容や働き方をわかりやすく解説します。
仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事は、大きく6つのフェーズに分かれます。一般的に要件定義・設計・構築フェーズを上流工程、運用・監視・保守のフェーズを下流工程と表現することが多いです。
| フェーズ | 説明 |
|---|---|
| 要件定義 | お客様が求めているシステム像をヒアリングし、必要な性能・予算・納期などの条件を整理するフェーズ |
| 設計 | 要件定義で整理した内容をもとに、実際に動く形として設計書へ落とし込むフェーズ |
| 構築 | 設計書や試験仕様書をもとに設定・事前の動作検証を行い、サービスイン(機器の設置、現行システムへの接続)まで行うフェーズ |
| 運用 | 稼働しているシステムが正常に使われ続けるよう維持するフェーズ |
| 監視 | システムが正常に動いているかを常に確認するフェーズ |
| 保守 | 導入した機器やシステムに不具合や故障が発生した際に、修理・交換・復旧対応を行うフェーズ |
働き方
ネットワークエンジニアは、同じ技術者でも「どの会社に所属しているか」で働き方や仕事内容が変わります。代表的なビジネスモデルは以下の3つです。
SESエンジニア(客先常駐)
SESは、クライアント企業へ常駐し、技術力や作業リソースを提供するサービス形態のことです。エンジニアはSES企業の正社員として所属しつつ、実際の業務は配属先の企業で行います。
ネットワーク業界では、後述するSIer企業のプロジェクトに参画するケースが一般的です。
私もIT業界に入った際、初めはSES企業へ入社し、某SIer企業へ常駐して業務に携わっていました。
特徴
- 未経験から入りやすい。
- 様々なクライアント企業・プロジェクトで経験を積むことができる。
- 裏を返せば、クライアント次第で仕事内容や条件が変わる可能性があるため、柔軟な適応力が必要になります。(配属先・案件ガチャ)
- キャリア形成が自己責任になりやすい。
- 基本的に配属先企業の指揮に従って業務を行うため、受け身の姿勢ではなく、自分の意志で積極的にスキルのアップデートを図る必要があります。
- 比較的責任が軽い。
- 準委任契約が基本のため、最終的な成果物完成の義務を負いません。
商流イメージ

SIerエンジニア(受託・元請け)
SIerは、クライアントからの依頼を受け、システムの要件定義/設計/構築/運用/監視/保守までを一括して担う企業を指します。システムベンダーと呼ばれることもあります。
特徴
- 上流工程に関わりやすく、キャリアが積みやすい。
- 責任範囲が広い。
- 納品物の品質がそのまま会社の評価につながるため、技術力のみでなく、プロジェクトの管理や資料作成など、総合的な能力が求められる。
- 案件によっては厳しい納期を設定されることもあり、残業や休日勤務が発生するケースがある。(案件ガチャ)
- 納入先によっては出張も多く発生するケースもあります。
- 社内の行事や間接業務を並行して対応する必要があるため、案件対応と重なってタスクが輻輳するケースがあります。
Tips:SIerの種類
SIerは、会社の成り立ちによって大きく以下のように分類されます。
- メーカー系
- ハードウェアやソフトウェアを製造しているメーカーを親会社に持つSIerです。自社グループの製品を中心に使ってシステム構築するのが特徴です。
- 外資系
- 海外企業を本社に持つIT企業の日本法人として、国内でシステムやネットワークの構築・運用を行うSIerです。親会社が提供する製品やソリューションを中心に扱う点は、メーカー系と共通しています。
- ユーザー系
- 親会社がIT企業ではなく、金融や鉄道、製造業などの一般企業に所属しているタイプのSIerです。グループ会社向けにシステムを作る「内販」と、外部企業へサービスを提供する「外販」をサービスとして提供しています。外販のケースでは独立系SIerに近い動き方になることが多いです。
- 商社系
- 総合商社を親会社に持つSIerです。商社が母体であるため、資金力・調達力に強く、外販が中心となります。ユーザー系に分類されることもありますが、同様に実態としては独立系に近い企業が多いです。
- 独立系
- 特定のメーカーに縛られず、さまざまな製品を組み合わせて最適なシステムを作るSIerです。メーカー製品で囲い込まないため、環境や要望に合わせて最適な構成を選べるのが強みです。
社内SE(情シス)
社内SEは、自社の情報システム部門で働く直雇用のエンジニアのことを指します。自社内のシステムやネットワークの構築・運用・改善を一貫して担当します。
外部ベンダー(SIer)にシステム構築を依頼する場合は、発注側の立場として、自社の要件を的確に伝える橋渡し役となるのも重要な役割です。
また、社員からの問い合わせ対応など、日常的なサポート業務も担当することが多いです。
特徴
- 業務負荷はSIerやSESに比べて低い。
- 外部ベンダー(SIer)に依頼する際、納期の調整ができるため、スケジュールが組みやすいことがメリットとして挙げられます。
- いわゆる配属先・案件ガチャが無い。
- 自社のシステムを扱うため、SIerやSESと違い「案件ごとに働く場所や業務内容が大きく変わる」ということがありません。そのため、組織に貢献する実感を得やすく、長期的に腰を据えて働くことが可能です。
- 技術的な成長スピードが遅くなりやすい。
- 扱うシステムが自社環境に限定されるため、SIerのように「最新の機器」「多様なネットワーク構成」に触れる機会が少なめです。技術力を広く深く伸ばしたい場合は、自ら情報収集や勉強を継続する必要があります。
まとめ
ネットワークエンジニアは、企業や社会の通信インフラを支える重要な職業です。
しかし、どのビジネスモデルかによって、関わる業務は大きく変わります。
| 働き方 | 特徴 |
|---|---|
| SES | 未経験からでも挑戦しやすく、様々な現場を経験できる |
| SIer | 上流工程に携わる機会が多くあり、技術力を伸ばしやすい |
| 社内SE | 自社環境を長期的に運用し、安定した働き方ができる。 |
それぞれメリット・デメリットがあり、どれが向いているのかは人によって異なります。
「技術力を深めたい」「安定して働きたい」「まずは業界の経験を積みたい」──
自分の目指すキャリアに合った働き方を選ぶことが大切です。
ネットワークをはじめとしたITインフラは、これから先も社会にとって欠かせない存在です。
それを支えるエンジニアの需要は今後も高まっていきます。
興味がある方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
