【初心者向け】Cisco機器のCLIに触れてみよう
Ciscoルータやスイッチは、CLI(黒い画面でコマンド入力する操作方法)が基本です。
この記事では、Cisco機器でよく使われるOS「IOS」の基本操作と、知っておくと便利な機能を、初心者向けにわかりやすく解説します。
初回起動時のセットアップは、機器にコンソールケーブルを挿し、ターミナルソフト上で行います。以下のように対話式で初期設定をするかどうか聞かれますが、基本的に使用しないため、noを入力してEnterを押下します。
Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]: noするとこのように「>」のプロンプト(コマンド入力可能であることを表す目印)が表示されます。これがユーザEXECモードです。このモードでは、一部のステータス確認など、限られたコマンドしか使えません。プロンプトの前の「Router」はホスト名を表します。
このモードでは、一部のステータス確認など、限られたコマンドしか使えません。実際の作業でこのモードを使うことはほとんどなく、次に紹介する特権EXECモードへ移行して作業を進めるのが一般的です。
Router>モード移行
詳細な機器のステータス確認、ファイル操作や再起動が可能な特権EXECモード へ移行します。
enable コマンドを入力して実行すると、プロンプトが 「>」から「#」 に変わります。この状態が特権EXECモードです。
また、コマンドを途中まで入力した段階で TABキーを押すと、候補が1つしかない場合は自動でコマンドを補完してくれます。タイピングの手間が減り、打ち間違いも防げるので、ぜひ積極的に使ってみてください。
Router>en ←enまで打ち込んだらtabを押下
Router>enable ←自動でコマンドを補完してくれる
Router#実際に設定を変更していく場合は、「configure terminal」コマンドで、グローバルコンフィグレーションモードへ移行します。プロンプトが「(config)#」へ遷移すれば成功です。
Router#conf
Router#configure ter
Router#configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#一般的な設定はグローバルコンフィグレーションモードで実行しますが、インターフェイス(ポート)の設定をする場合等、特定のケースではさらに1つ奥の階層へ入る必要があります。以下はインターフェイスコンフィグレーションモードへ移行した例です。
Router(config)#interface gi
Router(config)#interface gigabitEthernet 0/0
Router(config-if)#1つ上の階層へ戻りたいときは「exit」、特権EXECモードへ戻りたいときは「end」を使用します。
また、コマンドの候補が1つしかない場合、TAB補完を使わなくてもそのまま実行できます。しかし、実際の現場では打ち間違いを防ぐため、
- TAB補完を行う
- テキストファイルやExcel等に準備したコマンドをコピー&ペーストする
といった方法を用いて、正確な文字列でコマンドを実行することが推奨されます。
ただし、これはあくまで本番環境での話です。検証環境や個人学習など、実サービスに影響のない場面では、練習として手入力で省略形を試してみるのも良いでしょう。
Router(config-if)#
Router(config-if)#end ←特権EXECモードへ一気に戻る
Router#
*Nov 7 13:09:36.048: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
Router#
Router#conf t ←省略形でコマンド実行可能
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#
Router(config)#inter
Router(config)#interface gi
Router(config)#interface gigabitEthernet 0/0
Router(config-if)#exit ←1階層上に戻る
Router(config)#exit
Router#
*Nov 7 13:09:53.963: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
Router#便利コマンド
特権EXECモードで「show running-config」コマンドで機器の設定(コンフィグ)を確認することができます。
Router#show run
Router#show running-config
Building configuration...
Current configuration : 2924 bytes
!
! Last configuration change at 13:09:53 UTC Fri Nov 7 2025
!
version 15.6
service timestamps debug datetime msec
service timestamps log datetime msec
no service password-encryption
!
hostname Router
!
boot-start-marker
boot-end-marker
!
!
!
no aaa new-model
ethernet lmi ce
!
!
!
mmi polling-interval 60
--More--すると「–More–」という主力がされたところで止まってしまいました。この場合は、Spaceキーを押下すると、24行ずつページを進めてくれます。以下のように「end」と元のプロンプトが表示されれば、出力完了です。
~~~~~略~~~~~
!
line con 0
line aux 0
line vty 0 4
login
transport input none
!
no scheduler allocate
!
end
Router#
Spaceキー連打でもページ送りはできますが、毎回操作するのは少し手間です。
そこで、表示を一気に出力させる便利なコマンドがあります。
特権EXECモードで以下を実行します。
Router#terminal
Router#terminal len
Router#terminal length 0
Router#もう一度「show running-config」を実行してみましょう。
Router#show running-config
Building configuration...
Current configuration : 2924 bytes
!
! Last configuration change at 13:09:53 UTC Fri Nov 7 2025
!
~~~~~略~~~~~
!
line con 0
line aux 0
line vty 0 4
login
transport input none
!
no scheduler allocate
!
end
Router#
ページ送りを要求されることなく、最後まで一気に出力されましたね。
実際の現場では、このようにページングを無効化して作業することが一般的ですので、ぜひ覚えておきましょう。
また注意点として、「terminal length 0」の設定は、現在のセッションだけに適用されます。ログアウトすると無効化されるため、再ログインした際には改めてコマンドを入力する必要があります。よく忘れがちなポイントなので、覚えておくと便利です。
設定を戻したい場合は、特権EXECモードで以下を実行します。
Router#ter
Router#terminal no len
Router#terminal no length
Router#次回予告
今回は、Cisco IOSの基本操作について解説しました。次回は、実際に機器へ初期設定を行っていきます。よければそちらもご覧ください。
