検証

【予算7万円】ミニPCとProxmox VEで作るホームラボ part1 機器選定

gumio

前回のpart0では、ホームラボ構築の全体像と目的を整理しました。今回は実際にProxmox VEを動かすためのミニPCを選定していきます。予算の中でCMLライセンス費用を考慮しつつ、拡張性とコスパを両立させた構成を紹介します。

ミニPCを選定する目的

Proxmox VEは、オープンソースの仮想化プラットフォームであり、ESXiなどの他のハイパーバイザと比較すると導入要件が比較的ゆるく、幅広いハードウェアで動作するのが大きな魅力です。高価なサーバ専用機を用意する必要は無く、最近のミニPCでも十分に仮想環境を構築できます。

特にミニPCは、以下の点でホームラボ用途に非常に適しており、自宅でProxmox VEの仮想化環境を構築したい人に最適な選択肢といえます。

  • 小型・静音で省スペース
    • 常時稼働しても場所を取らず、デスク下や棚上にも設置可能。
  • 自作PCよりも導入ハードルが低い。
    • 組み立てやパーツ選定の手間が自作PCよりも少なく、購入後すぐに環境構築を始められる。
  • 十分な拡張性
    • メモリやNVMeスロットを2基搭載しているモデルも多く、将来的な増設にも対応している。

予算と考え方

Proxmox VEの導入自体は無料ですが、Ciscoルータやスイッチの仮想イメージ(vIOS)を使用するためには、Cisco Modeling Labs(CML)Personal版のライセンスが必要です。

  • CML Personal ライセンス費用:約33,000円(218.9ドル)
  • ミニPC購入予算:約37,000円

CMLはセールのタイミングによって25〜40%オフで購入できる場合もありますが、ここでは費用を固定として考え、ハードウェア側をコストパフォーマンス重視で選定するのがポイントになります。

ミニPCの選定基準

Proxmox VEは導入要件が比較的緩いため、極端に高スペックでなくても問題ありません。
しかし、仮想環境を安定して動かすためには、一定の性能と拡張性を持つミニPCを選ぶことが重要です。今回は以下の条件を満たすミニPCを選定対象とします。

項目要件補足
CPURyzenシリーズIntel CoreシリーズのEコア構成を避ける
Passmarkスコア10000以上(15000以上が望ましい)性能指標の目安
コア数6コア12スレッド以上並列で複数のノードを起動するため
メモリ16GB(2スロット構成)
将来的に増設可能であること
十分な容量と拡張性を重視
ストレージ512GB(2スロット構成)
将来的に増設可能であること
十分な容量と拡張性を重視
価格約37000円CMLとの合計で予算以内を目標に設定

Passmarkスコアの確認方法

ブラウザの検索窓で「CPU型番 passmark」と入力すると、Passmark公式のベンチマークページを参照できます。ただし、ベンチマークは時期によってスコアが変動します。ここで示す数値は2025年11月時点の参考値であり、時間経過により多少前後する点はご了承ください。

「Ryzen 5 5600H passmark」で検索した例

おすすめミニPC

上記の条件を踏まえて、今回は以下のミニPCを選定しました。実際に私が使用している型番でもあります。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0FNMPC3WJ

主なスペックは以下の通りです。

  • CPU:Ryzen 5 5600H(6コア/12スレッド)
  • メモリ:16GB DDR4(2スロット 最大64GB)
  • ストレージ:512GB M.2 2280 NVMe SSD(M.2 2242 NVMe SSDの空きスロット有り)
  • Realtek製 1GbEポート ×1

このモデルはRyzen 5 5600Hを搭載しており、PassMarkスコアも約16,000と十分な性能です。また、メモリスロット、M.2スロットが2基搭載されているため、将来的に増設することも可能です。

注意点

このミニPCのNIC(LANケーブルを差す部分)はRealtek製のため、Proxmox VEでは問題なく動作しますが、VMware ESXiでは認識されません。もし将来的にESXiを試したい場合は、Intel製NICを搭載したモデルを選ぶか、USB NICを追加することを検討しましょう。

次回予告

次回のpart2では、準備物の整理を行い、USBメモリを使ってProxmox VEのインストールメディアを作成します。

ABOUT ME
空花(そらはな)ぐみを
空花(そらはな)ぐみを
ネットワークエンジニア / 愛猫家
高卒工場勤務を経て31歳でIT業界へ転職し、現在はSIer企業でネットワークエンジニアのプレイングマネージャーとして設計・構築を担当しています。未経験からキャリアを切り開いた経験を活かし、
・ネットワークエンジニア初級〜中級者がつまずきやすいポイントの解説
・ラボ環境を活用した検証手順
・業務で生かせる実践的なノウハウ
など、インフラエンジニアを目指す方や、現職でスキルを磨きたい方に役立つ情報を発信していきます。
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