【予算7万円】ミニPCとProxmox VEで作るホームラボ part0 全体像
ネットワークの学習や検証を進めるうえで、「自分専用のラボ環境を持ちたい」と思ったことはありませんか?Cisco Packet Tracerは初心者向けに優れた学習ツールですが、機能的な制限があることや、シミュレータという性質上、実際の機器に近い構成を再現するには限界があります。
本シリーズでは、予算7万円で「ミニPC+Proxmox VE+PNETLab」を使ったホームラボを構築していく手順を紹介します。今回はその第0回として、全体像を整理していきます。
Packet Tracerの限界を超えるための環境づくり
Cisco学習者にとってPacket Tracerは非常に便利なツールですが、実機のOSに比べてコマンドが一部制限されており、細かい挙動が再現できないという制限があります。
この点を克服するため、PNETLabという仮想環境でCisco vIOSを動かすというアプローチを取ります。
Cisco vIOSとは、実機ルータやスイッチのIOSを仮想マシン上で動作させるためのイメージです。Packet Tracerではできなかった本物のIOS操作や複雑なトポロジ構築が可能になります。
vIOSイメージを正規入手するためには、Cisco Modeling Labs (CML) Personal版を契約する必要があり、年間ライセンス(1年有効)で費用はおよそ 218.9 ドル(約33,000円)ほどかかります。
ライセンスの考え方として、まず初年度は PNETLabとの操作感(UI)を比較しながら使用し、必要性を感じた場合に翌年度以降も更新を検討していただく形がいいかと思います。また、後述でも言及していますが、セールのタイミングによっては定価より安く購入することが可能です。
PNETLabを採用する理由
CMLはCisco純正のシミュレーション環境として完成度が高いですが、将来的にマルチベンダー検証を行うことを見据えて、Cisco以外のベンダー(Fortinet、Palo Altoなど)も扱えることから、拡張性のあるPNETLab環境をベースで考えていきます。
下の画像は、PNETLabの仮想マシンに12GBのメモリを割り当てて作成したトポロジです。
これでもまだリソースに余裕があるくらいなので、物理マシンのメモリが16GBでも、ある程度の規模であれば十分に検証できます。もし今後より大きな構成を試したくなった場合は、そのタイミングで32GBや64GBに増設すれば大丈夫です。
PNETLabトポロジ例

構成と費用内訳
今回のホームラボは、なるべくコストを抑えつつ拡張性を確保することを目標としています。初期構成の費用内訳は次の通りです。
なお、CMLは定期的にセールを実施しており、25%〜40%オフで購入できるケースもあります。
そのため、サイバーマンデーなどの大型セール時期を狙って購入するのがおすすめです。うまくタイミングを合わせれば、5万円台で一式をそろえることも十分可能です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| CML Personal(年間ライセンス) | 218.9ドル(約33,000円) ※セールのタイミング次第で安く購入可能(25~40%オフ) |
| ミニPC(メモリ16GB・SSD512GB) | 約37,000円 |
| 合計 | 約70,000円 |
次回予告
次回のpart1では、実際にミニPCを選定します。CPU・メモリ・ストレージのスペックや、Proxmox VEを快適に動かすための要件を具体的に紹介していきます。
